古殿地(こでんち)とは、式年遷宮で神様が新しいおやしろへ引越しをされ、お役目を終えた敷地です。
式年遷宮がひと段落するまでの半年間は、 古殿地と呼ばれます。
この間に御垣内参拝をすると、まだ古い御正殿が残ったままの古殿地へ、通していただくことができます。
神様の波動がまだ色濃く残ってる御敷地へ入ることができる、奇跡の半年です。
外宮を訪れたのは2013年10月31日早朝です。
翌日は、内宮・外宮の遷宮を終えた最初の月の朔日参り(ついたちまいり)でした。
私は古殿地参拝のことを全く知らずに外宮を訪れ、普通に御垣内参拝をしました。
そして思いがけずに通していただいたのですが、実はその時、 古殿地のご参拝はできない時間帯でした。
実際、私の前後に一組づつご夫婦がいらっしゃいましたが、通されていませんでした。
お祓いを受け、いつもの通り御垣内参拝させて頂き、身支度をして出ようとしたとき、
「古殿地をご覧になりますか?」と、ご神職さんに言われました。
何のことかよくわからず、正直、何と仰っられたのか正確には覚えていません。
とにかく「はい」と答えました。
すると、「ではこの垣に沿って進んでください。奥に守衛がいますので、案内されたとお伝えください」と言われました。
そのまま、受付側の出口とは反対の方向へ、ぐるりと真後ろまで進みました。
すると守衛さんに、「どうされました?今は古殿地へは入れない時間ですが」と聞かれたので、
「こちらにどうぞとご案内頂いたのですが」と答えました。
「そうですか。もうじき日別朝夕大御饌祭ですから、少し急いでください。古殿地はこの先の右側の扉です」と仰いました。
そのまま進むといよいよ古殿地の扉があり、ドキドキしながら、一歩中へと入りました。
中は、真っ白い光の世界でした。
光の中に、ご正殿がそのままの形で建っていました。
そこは、わずかひと月前まで豊受大御神がいらした、神界でした。
<続く>