「引き寄せの法則」の極意の一つに、「いつもいい気分でいる」というのがあります。
でも、「いい気分」でいるのがどうして良いのか、イマイチよくわからない、という人多いのでは。
本書は一つの答えをくれています。
運が劇的に変わる時、そんな場、というのが人生にはあるんですよ。
それを捕まえられるアンテナがすべての人にあると思ってください。
そのアンテナの感度は、上機嫌のときに最大になるんです。
逆に、機嫌が悪いと、アンテナは働かない。
だから、最高の運気がやってきているのに、すべての運が逃げていっちゃうんです。
喜多川泰氏は自己啓発系と捉える人が多いですが、この小説は自己啓発というより、「引き寄せの法則」をベースにしているように感じました。
引き寄せの法則でひっかかる人が多い「いつもいい気分でいる」。
それって何?そんなの無理。
物語の主人公は保険の営業マン。保険契約の解約が続いて大ピンチに陥ったとき、タクシーの運転者が現れます。
その運転手に言われたのが、次の言葉。
不機嫌な保険の営業マンに新しい契約のチャンスなんてあるんですか?
どんな仕事をしている人でも、不機嫌な人が成功したことなんてないですよ
これ、考えたら当たり前ですよね。
仕事に限らず、私たちは時々誰かのことを、「あの人いつも機嫌がいいよね」ということがあります。でもそれが話題になるということは、そういう人が珍しいということです。
「機嫌のいいフリではだめなのか」
「フリではだめです。それくらい他人は見抜きます」
そう、自分の不機嫌は自分では気が付かないけど、他人の不機嫌はすぐにわかる。
そう思いませんか。
では<上機嫌でいるコツ>は、というと、
【損得で考えず、「楽しそう」「面白そう」で物事を見てみる】
【楽しいことを期待するのではなく、起こることを楽しむと決める】
そう、人は損得でモノを考えがち。
得しそうだからやるか、とか、自分だけ損する?とか。
そうじゃなくて、ワクワクしたら、損でも得でもやりなさいと。
そう、人間ワクワクしているときは損得なんか考えない。ワクワクしているときは、いつも上機嫌。毎秒毎秒その選択をする。
それを積み重ねることで、<いつも上機嫌な人生>でいられる。
誰かの幸せのために自分の時間を使う。
運をためる方法として、「誰かの幸せのために自分の時間を使う」と、運転者は伝えます。
その上で、
そのときしてあげたことと、してもらったことの差が、<運>です。
石原裕次郎の名言を思い出しました。これが一番わかりやすいかもしれません。
人にしてあげたことはすぐ忘れろ。
ひとにしてもらったことは絶対忘れるな。
世の中は、誰かが頑張る姿からもらったエネルギーの集合体
オリンピック・パラリンピックなどを見てると、よく言いますよね。
「力をもらいました」
「元気をもらいました」
あれですね。誰かの姿を見て自分も動かされる。あるいは、誰かのために動く。
この本で一番感動したのが実はこの部分です。
この物語は、主人公の祖父の戦死が発端になっています。
サイパンで、明日玉砕する若き日の祖父は、「生まれたばかりの息子に蕎麦を食わせるために、俺は明日死んでいくのさ」と言って笑います。
戦時中を舞台にした朝ドラなどを見ていると、夫や息子が「家族を守るために死ぬ覚悟をする」シーンがたくさん出てきます。
そうか、そうやって戦死していった日本兵の想いがエネルギーの集合体になって、戦後豊かに復興していく日本ができたのか、、、と思わせてくれる場面でした。
本当のプラス思考とは
物語は終盤、本当のプラス思考とは何か、という展開になっていきます。
「生まれたときより、少しでもたくさんの恩恵を残してこの世を去る=自分が生きたことで世の中が少しプラスに変わっている」
そんなことが、究極のプラス思考として語られていきます。
考え方としては自己啓発かもしれないし、スピリチュアルかもしれない。
親が子を思う気持ちでもあり、次の世代のために世の中を良くしていくという考え方にもつながります。
ぜひこの本を手に取って、実際に読んでみてください。
ある人にはただのファンタジーであり、ある人には生きる指針になる、不思議な物語です。
でも素直に読めば、人生や物事を好転させていく考え方が詰まっている1冊です。