外宮に「三ツ石」という場所がある。
【御装束神宝などを祓い清める「川原大祓」が行われる場所】だ。
麻縄で結界が張られている。
近年、なぜかここがパワースポットとされ、結界を超えて手をかざす人がたくさんいるという。
「手をかざさないでください」と、神宮がわざわざ注意をしているにもかかわらず。
(三ツ石は、)古殿地の南側にある三個の石を重ねた石積みで、この前では御装束神宝や奉仕員を祓い清める式年遷宮の川原大祓が行われます。近年、手をかざす方がいますが、祭典に用いる場所なのでご遠慮ください。
伊勢神宮公式サイトより
わざわざ注意しているということは、「するな」ということであり、「してはいけない」ということであり、神道において「不敬」を意味する。
「川原大祓」は、20年に一度、式年遷宮の時にのみ行われる非常に重要な神事だ。
遷御の前日、仮御樋代・仮御船代や御装束神宝を始め、遷御に奉仕するすべての奉仕員を「川原祓所」で祓い清める。祓いの神事終了後は、すぐに結界が張られる。
なぜ、すぐに結界を張るのか。
その意味を考える。
何十人もの神職・奉仕員の穢れを、20年に一度、式年遷宮のためにだけ、祓い清める場所。
一体どれほどの力がある場所か。
どれほどの穢れが吸い込まれていく場所か。
20年の穢れである。
いろいろな意味で、パワーがあるどころの場所ではないと考えた方が自然だ。
本当に計り知れない力を秘めている場所というのがある。
流行りのいい方で言えばパワースポットかもしれないが、いい意味だけでいわれるわけではない。
いい場所か悪い場所かというのは人間が後付けしたことで、霊力というのはよくも悪くもない。
その場所自体がすさまじく大きな力を秘めている、あるいは封じているということもある。
良い作用だけするなんてことはない。
とにかく、神宮が注意を促している場所に手を入れるのは、不敬な行為だ。
神様に対して、もっとも歓迎されない行為は「不敬」である。
皆さん、不敬を行わないように。