御垣内参拝は式年遷宮への寄付をすれば誰でもできますが、神様の近くでご参拝させて頂くのにふさわしい【姿勢】が求められます。
普通のご参拝と一番違うところは、服装です。服装チェックが大変厳しい。
友人に説明すると、ここであきらめる人が多いです。
なぜ服装が厳しいか
神の領域に入るからです。
神社境内は【神域】ですが、御垣内は【神界】と思ってください。
天皇陛下ですら頭を下げる場所です。
そこに入らせて頂くのに、観光の服装では【不敬】に当たるということです。
準備は自宅を出る前から
自宅を出発する前から、伊勢の神様にご挨拶させて頂く準備をする。
スーツを用意し、アイロンをかけ、しわが寄らないように丁寧にたたみ、靴を磨く。
そうしているうちに、普通の観光とは違う気持ちが芽生え、参拝の姿勢が整っていきます。
御垣内参拝は、出発前から始まっているということです。
御垣内参拝できる服装
では、どんな服装が求められるか。
一言でいえば、”本当にきちんとしたフォーマル”です。
以前は、「結婚式に参列する服装」と言われていました。でも最近の結婚式はかなりカジュアル化しています。
なので、「格式ある結婚式」。
あるいは、「天皇陛下に謁見できる服装」と覚えておくと間違いないです。
具体的には、男性は無地のスーツ、地味目のネクタイ、白シャツ、革靴であれば大丈夫だと思います。
正式な礼装であるモーニング姿の方を見かけることもあります。
子供は基本は制服に革靴。子供といえどもスニーカーはダメです。
問題は女性。
間違いないのは、白や黒、グレーの無地のスーツに肌色ストッキングと革靴です。
色・柄物は不可と思って間違いない。
「ワンピースに上着」でもダメな場合があるようです。
また、靴が厳しい、とよく言われます。
きちんとしたスーツを着ていても、靴がカジュアルならダメということ。
前あき・バックベルトのサンダルや、ブーツはダメです(ショートブーツも)。
ヒールがある靴も避けてください。これは、危ないからです。
御垣内は、握りこぶし大の白玉石が敷き詰められているので、ヒールは(低いものでも)石の隙間に刺さって歩けません。
ペタンコ靴でもグラグラして歩きづらいくらいです。
お年寄りは気を付けてあげてください。
着物の方も多く見られます。
私は着物の格式はわからないので、着物でご参拝したい場合は、着物のTPOに詳しい方に確認されてください。
着物といえどもカジュアルは不可です。
ちなみに私はいつも白シャツ、黒のビジネス用のパンツスーツ、黒の革靴です。
受付の後に、靴だけ履き替えています。
カバンや傘は、置く場所があるのでどんなものでも大丈夫です。
あと、本気の本気でご参拝される方で、髪の長い方は、後ろで束ねるのが良いです。
巫女さんのように。
(巫女修行をするときは、神様に顔をしっかりお見せするために、前髪も左右にあげてピンでとめます)
その方が清潔にも見えるので、長い髪は束ねることをお勧めします(黒ゴムでね)。
神様に喜んでいただくご参拝の極意です。
<お父さんだけ御垣内に入れない>ということが、本当にあります
チノパンのお父さんだけが入れない様子を見ました。上はジャケットを着ていました。
そのときは、お年を召したご両親、娘夫婦とその子供、というようなご家族でした。
昭和一桁生まれくらいのご両親の希望で来られたのか、娘さんはその気持ちを汲んで準備してきたけど、夫の方は観光気分が勝ってしまったのかな~、運転があって窮屈だったのかな~、などと勝手に想像していました。
入れなかった夫さんは、家族がご参拝する様子を、ひとり荷物置き場から見守っていました。
御垣内とは何か
御垣内は、神様の世界です。
神社の境内は既に【ご神域】ですが、伊勢神宮の御垣内は、【神界】です。
観光旅行の領域ではないということです。
天皇陛下も深く頭を下げるのが、神宮の御垣内です。
我々一般庶民がそこに入るには、入るだけの姿勢が求められるということです。それがわかりやすく「服装」という形で試されます。
これはある意味簡単というか、(不敬なことさえなければ)自分の外観を整えれば大丈夫という、大変ありがたいことでもあります。
神様が、ご神職さんの目を通して身なりのチェックをされ、神界へと通してくださる。
神宮ならではの格別なご計らいなので、興味がある方はぜひされてみてください。
でもね、式年遷宮の年、私は神様が身なりのチェックだけではなく、本当にその人の【参拝の姿勢】まで見ていらっしゃるのだということを、まざまざと、奇跡としかいいようのない形で知らされました。
それは、今思い出しても涙が出そうな体験でした。
<続く>