「富士山に登ると、生まれ変わると言われているんですよ」と、下山した後、ガイドさんが仰いました。
富士山に登った人は、「達成感がすごい」とか、「遠くから眺めていても身近に感じるようになった」とかいうけど、私は肉体疲労がすごくて、それどころではなかった。
数日たって疲労が抜けてきたころ、ようやく「富士山を体験して良かったな」と思えるようになりました。
そう、まさに「体験」でした。
ご来光も山頂の神さまも素晴らしかったけど、それよりも、「自分の肉体をとことん使ってみた」という思いの方が強い気がします。
何より、帰宅してから丸二日間も肋骨が痛かったのが衝撃的で、「生きるために、これだけ呼吸したんだ」という泣きそうなくらいの感動が、強く残っています。
日本一のエネルギーをもらいにいったはずなのに、自分のエネルギーを全て吸い取られた。
そしてまたよみがえった。
二日間ほとんど動けず、三日目の朝に目覚めたとき、はじめて強烈な爽快感を感じました。
いったん朽ちた肉体がよみがえった爽快感。確かに自分の内側にある、富士山のエネルギー。
「生まれ変わる登山」
私にとって富士山は、まさにそんな登山でした。
いつでも励ましてくれたガイドさんたち、一緒に登ってくれた旅の仲間たち、ありがとうございました。